「名古屋春風伝」のあらすじ
時は江戸時代、享保年間。 お江戸では第八代将軍徳川吉宗が質素倹約で民衆の財布の紐を締め上げているそんな時代。 ここ尾張の国で、ひとりの道楽者が第七代藩主の地位に就く。 そう、彼こそが今回のお話の最重要人物、徳川宗春である。
そんな尾張の国の新藩主のうわさを聞きつけた、朝比奈みるくと細川たけしのふたり。 彼らは江戸の街では札付きの悪者で、繰り返し働いた悪事のために超そっくりな似顔絵の手配書が出回り、もうこの街では大きな顔をして歩けない。 だったらいっそのこと「尾張の国まで逃げてしまおう!」と、最大の難所である箱根の山を越え、越すに越されぬ大井川も越え、やっとの思いで尾張の国までやってきた。
一方、こちらは名古屋の城下町。 ふたりの少年剣士が、師匠の下で剣の修行に励んでいる。 この少年たちこそ今回の物語の主人公、松平菊千代と松平影千代のふたり。そして訳あって両親と離れて暮らしているふたりの少年を、親代わりに世話をしているのが、剣の師範である成瀬隼人正。 彼はもともとは尾張藩の重臣であったのだが、今は隠居して名古屋の城下町で剣術の道場を開いている。
そんなある日、尾張藩主徳川宗春は、以前から温めていた彼自身の政治に関する思想や方針を記した立法書<温知政要>を腹心の部下である星野藤馬に示す。 温知政要を読んだ星野藤馬は、政治・経済、さらには芸能・文化に対する宗春の先進的な考え方に触れ、改めて自分の主の飛びぬけた才覚に舌を巻く。
ところがこの温知政要、内容の一部に江戸の将軍徳川吉宗の政治を批判していると解釈されても文句が言えないような部分があった。大要では認めつつも、その部分のことだけが気がかりの星野藤馬であったが・・・実はこのことは、城下で隠居するかつての重臣成瀬隼人正も同様に「宗春の危ういところ」として心配している部分であったのだ。
一方の宗春は、そんなことを気にする風もない。名古屋の経済と文化の発展のため、思ったことは素直に実行していく持ち前の行動力で、城下を次々と娯楽の街へと変貌させていく。宗春を更迭せんと企む江戸の将軍吉宗の手のものが、間近なところまで迫っていることも知らずに・・・
10年ぶりにさみしんぼ王国がお送りする復活作は、独自の価値観でここ名古屋の地に爽快な風を吹かせた尾張藩主徳川宗春をモチーフにした、愉快ツーカイな藤子アニメ系ナンセンス時代劇です!
あの頃の絶妙な空気感はそのままに、10年分の想いをたっぷり詰め込んでお送りします!乞うご期待!!